本郷通りの三丁目交差点から東大の赤門の方への道は、僅かな傾斜がありますが、  ここが別れの橋跡 ・見送り坂と見返り坂です。　道端にある標識には次のとおり記されています。
「むかし太田道灌の領地の境目なりしといひ伝ふ。そのころ追放の者など此処より放せしと・・・いずれのころにかありし、此処にて大きな石を掘出せり、是なんかの別れの橋なりしと云い伝へり・・・・ 太田道灌（１４３２〜８６）の頃罪人など此処よりおひはなせしかば、 ここよりおのがままに 別るるの橋といへる儀なりや」と「改撰江戸志」にある。」
本郷通りは、  三丁目の方から交差点を過ぎ文京センター左横菊坂への通り辺りまで下り、 それから東大赤門の方へ向かって緩やかな上りになっています。 むかし加賀屋敷（現東大構内）から小川が流れ菊谷に注いでいて、 「新撰東京名所図会」（明治４０年刊）（１９０７）によれば 勧業場本郷館（ショッピングセンター) （現文京センター） の辺りは地層やや低く凹み、そこに橋が架けられ「別れの橋」と呼んでいたとのことです。 江戸を追放された者が、  この「別れの橋」で放たれ、 手前の坂で親類縁者が見送ったから見送り坂、追放された人が振り返り、振り返りながら去って行ったから見返り坂と云われたとのことです。
雑踏と車の騒音の中で道端の説明を読みながら 何百年もの時の流れを思いました。
（２００２．７．２４撮影）